トピックス その1

トピックス その1

浮橋係留索() 

江戸時代の幕府御用舟橋の係留主索には、直径3寸(9cm)から5寸(15cm)、長さは200間程度の苧(カラムシ)綱が5、6本用いられていた。具体的な綱綯製法についての史料は存在していないが、種々の江戸舟橋古文書・絵図によると河原に杭を打ち、その間にキチョウ・キチヨウ・キッチョウおよびナコト・ナコド・ナコウドと称されている器具を介在して、3本の子縄を用いて架橋現場の河原などでろくろを用いて綯っていた。キチョウはぎっちょの転訛、ナコトは仲人(なこうど)の転訛であり、現在これらの機能を解明しつつある。 天和2年(1682)の朝鮮通信使用に架けられた、富士川舟橋の主索用の直径14.5cmの苧綱、長さ150間(273m)5本(延750間:1364m)の製造に用いた綱苧麻の総質量は、425駄の17,000貫(63,750kg)に達し、単価を標準の1貫目あたり金1分とすれば、綱苧麻の金額は金4,250両、1両10万円換算で約4億円の巨額となる。もちろん約1ヶ月使用の苧綱は、一千石舟に転用されたと思われる。